用途別にCMSの種類を見てみよう【CMSについて考える_その2】

「CMSについて考える」シリーズ第2弾です!

前回は、こちらの記事で CMSの基礎知識を書きました。
CMSっていつからこんなに便利になったの?歴史をサクッと振り返ろう!【CMSについて考える_その1】

今回はより詳しく、CMSの種類とその特徴について書いていこうと思います。

CMSの種類と特徴

Webサイトを作る上でまずやることは、プロジェクトに最適なCMS(コンテンツ管理システム)を選ぶことですよね。CMSにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や得意な分野があります。選び方を間違えると、作業効率が下がったり、サイトの成長を妨げたりすることも。この記事では、プロジェクトの目的や規模に応じたCMSを選ぶポイントをご紹介します。

オープンソースと商用CMS

まず、オープンソースのCMSと商用CMSの違いは以下のようになっています。

  • オープンソース
    • ソースコードが一般に公開されていて誰でも無料で使える
    • 導入コストが低い
    • カスタマイズが容易
    • メンテナンスが必要
    • 不正アクセスやサイバー攻撃の対象になりやすい
  • 商用CMS
    • 企業が開発・提供しており、ライセンス費用や利用料金がかかる
    • 特定の分野に特化した CMSもある
    • 企業による定期的は更新やサポートがあり、高度なセキュリティ対策が施されている

5つの主要なCMSの特徴まとめ

ここでは、以下の主要なCMSについて、それぞれの特徴や適しているプロジェクトを解説していきます。CMSを選ぶ際の参考にしてみてください!

◆  ブログ系

 ∟WordPress

 ∟Movable Type

◆  汎用型

 ∟Drupal

◆  ECサイト系

 ∟BASE

 ∟EC-CUBE

WordPress

WordPress公式ホームページ(スクリーンショット)
▲WordPress公式サイト:https://wordpress.com/ja/

WordPressは、世界中で広く利用されているオープンソースのCMSです。もともとはブログ作成ツールとしてスタートしましたが、現在では個人ブログから企業サイト、さらにはオンラインショップやポートフォリオサイトまで、さまざまなWebサイトの構築に対応しています。プラグインやテンプレートが非常に豊富に揃っていて、サイトのデザインや機能を自分好みにカスタマイズしやすいのが魅力です。

しかし一方で、WordPressはオープンソースであるため、攻撃の対象になりやすいというセキュリティ面の課題があります。古いバージョンのソフトウェアや脆弱なパスワードが原因で攻撃を受けやすくなる傾向があるため注意が必要です。

また、基本的な使い方は比較的簡単ですが、より高度な機能を活用するには一定の知識が必要で、慣れるまでに少し時間がかかることもあります。それでも柔軟性と多機能性で多くのユーザーに支持されています。

WordPressは以下のようなプロジェクトに適しています。

ブログや情報発信を中心としたプロジェクト

  • 個人ブログ、ニュースサイト、メディアサイトなど、頻繁にコンテンツを更新する用途に最適。

中小規模の企業サイトやポートフォリオ

  • 簡単にデザインを整えられるテンプレートが豊富で、企業紹介や個人の作品集など、手軽に作成できる。

EC機能を追加したい小規模なオンラインショップ

  • WooCommerceを利用すれば、簡単にEC機能を統合できるため、小規模なネットショップにも適しています。

Movable Type

Movable Type公式ホームページ(スクリーンショット)
▲Movable Type公式サイト:http://www.movabletype.jp/

独自のテンプレート機能やブロックエディタ、スパム対策機能などを備えたCMSです。動的生成と静的生成の両方に対応しており、ニーズに合わせたページ構築が可能です。さらに、企業が運営する商用CMSであるため、公式サポートを受けられるのが特徴です。特に、セキュリティ面や運用サポートを重視する方にとって安心感のある選択肢といえます。

一方で、商用利用にはライセンス料が発生するため、無料で利用できるオープンソースCMSと比較すると導入コストが高くなります。また、Movable Typeはオープンソースではないため、WordPressと比べるとプラグインの数が少なく、機能拡張の自由度では劣る面もあります。

そのため、豊富なプラグインを活用して高度にカスタマイズしたい方にはあまり向いていないかもしれません。ただ、安定性やサポート体制を重視するプロジェクトには適したCMSといえます。

Movable Typeは以下のようなプロジェクトに適しています。

セキュリティや信頼性が重要なプロジェクト

  • 企業の公式サイトや金融機関、公共機関のウェブサイトなど、安定性とセキュリティが求められる場合。

静的HTMLサイトを利用したいプロジェクト

  • サーバー負荷を抑えたい大規模サイトや、更新頻度が低いサイトに最適。

複数サイトを効率的に運営するプロジェクト

  • 複数のブランドや関連サイトを一元管理したい企業や団体に向いています。

(ちょっとした裏話…)

Movable TypeのインストールからCMSサイトの構築方法まで完全詳解した書籍『Movable Type 4 新しいWebサイトの黄金則』。弊社社長の芝が監修をしています。歴史を感じますね(笑)

Drupal

Drupal公式ホームページ(スクリーンショット)
▲Drupal公式サイト:https://www.drupal.org/

Drupalは、PHPで開発された柔軟性と拡張性に優れたWebアプリケーションのフレームワークです。多くのCMSではプラグインを追加することで機能を拡張するのに対し、DrupalではAPIが標準化されているため、多くの場合プラグインを使わなくても柔軟なカスタマイズができます。

また、セキュリティ面でも安心で、専任のセキュリティチームがトラブル発生時の対応をしっかりサポートしてくれます。もしトラブルが発生した場合でも迅速に対応できる体制が整っているため、安心して利用できます。

大規模な企業サイトや公共機関、コミュニティプラットフォームなど、信頼性が求められる場面で特におすすめです。拡張性と安全性のバランスが取れた信頼性の高いフレームワークです。

Drupal は以下のようなプロジェクトに適しています。

大規模で複雑なサイト構築が必要なプロジェクト

  • 大企業や政府機関のサイト、複雑な構造や多言語対応が必要なサイトに最適。

高いカスタマイズ性を求めるプロジェクト

  • 独自の機能やデザインを実装したいプロジェクト、特定の要件に合わせた開発が必要な場合。

コミュニティや会員制サイト

  • ユーザーの登録、ロール管理、アクセス権限の設定が強力なため、オンラインコミュニティや会員サイトに向いている。

BASE

BASE公式ホームページ(スクリーンショット)
▲BASE公式サイト:https://thebase.com/

BASEは、誰でも簡単にECサイトを作れる便利なCMSです。ECサイトに必要なデザインや決済機能、運営に欠かせないツールが揃っており、高度なPCスキルがなくても安心して利用できます。さらに、初心者向けにオンラインチャットなどのサポート体制が充実しているのも心強いポイントです。また、顧客情報を取り扱うECサイトにとって重要なSSLも全てのWebサイトで標準対応しており、セキュリティ面でも信頼できます。ただし、テンプレートが豊富で簡単にデザインを選べる一方、自由度がやや低いため、オリジナリティを重視したい方には少し物足りないかもしれません。それでも、手軽さと安全性から初心者におすすめのCMSです。

BASE は以下のようなプロジェクトに適しています。

小規模なオンラインショップ

  • 初期費用を抑えながら、個人や小規模ビジネスで手軽にECサイトを始めたい場合に最適。

初心者が簡単に運営したいプロジェクト

  • プログラミングやデザインのスキルがなくても、テンプレートを使って直感的にショップを作りたい人におすすめ。

特定の商品やサービスに特化したショップ

  • ハンドメイド商品や個性的なアイテムなど、少量の商品を販売するシンプルなECサイトに向いている。

EC-CUBE

EC-CUBE公式ホームページ(スクリーンショット)
▲EC-CUBE公式サイト:https://www.ec-cube.net/

EC-CUBEは、日本発のオープンソースCMSで、ECサイト構築に特化したプラットフォームです。商品管理や在庫管理、決済機能、顧客管理など、オンラインショップ運営に必要な機能が標準で揃っており、初めての方でもスムーズにサイトを構築できます。また、日本市場に対応した決済方法や配送サービスにも対応しているため、国内向けのショップ運営に特に適しています。

さらに、EC-CUBEはオープンソースなので、自分のニーズに合わせてカスタマイズが可能。プラグインも充実しており、簡単に機能を追加できるのも魅力です。コミュニティも活発で、多くの情報やサポートが得られるので安心して使えます。日本市場向けのECサイトを考えている方におすすめのCMSです。

EC-CUBE は以下のようなプロジェクトに適しています。

日本市場に特化したECサイト

  • 日本独自の決済方法や配送サービスに対応しているため、国内向けのオンラインショップに最適。

カスタマイズ性を重視するプロジェクト

  • オープンソースのため、独自のデザインや機能を開発し、差別化したいECサイト運営に向いている。

中規模から大規模なECサイト

  • 商品数が多い、または複雑な在庫管理や顧客対応が必要なビジネスに適している。

ちなみに注目の国産CMSについては、こちらの記事でも紹介していますので、ぜひご参考ください。
【2024年版】注目の国産CMS3選 | in-Pocket インポケット

まとめ

今回は、5つのCMSについてご紹介しました。それぞれに特徴があり、メリットもあればデメリットもあります。どのCMSを選ぶかは、作りたいサイトの目的や規模、そして自身の技術力や運営体制によって変わります。ぜひ、自分のニーズに合ったCMSを選んで、理想のサイトを実現してください。この記事がその一助になれば幸いです!

「CMSについて考える」シリーズは、まだまだ続きます!

次の記事では、CMSが解決する問題と限界についてお伝えします。

お楽しみに!