Obsidian × Claude Code × MCPで変わる開発フロー―効率的な実装ワークのすすめ

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開発者が直面する課題:あなたもこんな経験ありませんか?

「前に解決したバグの対処法、また調べなきゃ…」 「タスク管理がバラバラで、何が重要か分からない!」「(複数の案件を抱えている状況で)このプロジェクトの設計方針は何だっけ…」

――そんな経験はありませんか?

設計の基本ルールを思い出せずに古い資料を読み返したり、過去に修正したバグの対処法を再調査したり。さらに、タスク管理が複数のツールに分散してしまい、重要な作業の優先順位が見えにくくなる。こうした小さな積み重ねが、気づけば大きな開発効率の低下につながっていきます。

このような課題を解決してくれるのが、「Obsidian × Claude Code 」という組み合わせです。この2つのツールの組み合わせは2025年に商用無料化とMCP連携によって進化を遂げ、今や「メモアプリ」や「AIアシスタント」の枠を超えて、エンジニアの開発フローを根本から変える存在となりました。

本記事では、その活用方法を詳しく解説するとともに、後半ではすぐに試せるセットアップガイドも紹介します。読んだその日から導入できるように構成していますので、ぜひ最後までご覧ください。

Obsidian × Claude Codeで解決できる具体的な課題

まずは、ObsidianとClaude Codeとはどんなツールかについてそれぞれ簡単に説明します。

Obsidianとは?
Obsidian(オブシディアン)は、Markdown形式でノートを作成・編集できるマークダウンエディタであり、同時にパーソナルナレッジベースツールとしても活用できる次世代のノートアプリです。ローカルに保存されたノートを相互リンクでつなぐことで、情報をネットワーク的に整理・管理でき、効率的に知識を蓄積し活用できます。
(参考:Obsidian 日本語ヘルプ

Claude Codeとは?
Claude Codeは、Anthropicが開発したターミナル上で動作するエージェント型AIコーディングツールです。ソースコードや依存関係を理解し、自然言語でコード生成・編集・レビュー、Git操作やテスト、PR作成まで実行できます。ObsidianとのMCP連携により知識ベースを活用し、実装案の提案やタスク管理を支援。反復作業や複雑なコード理解を効率化し、開発の生産性と品質を向上させます。
(参考:Claude Code概要

2つのツールを組み合わせることで、以下に挙げる開発者が抱える3つの課題を解決することができます。

1. 散らばった情報と忘れてしまう知識

プロジェクトを進める上で、設計方針、過去のバグ解決策、学習した新しい技術など、様々な情報が蓄積されます。しかし、これらの情報が散在していたり、体系的に整理されていないと、いざという時に見つけられず、同じ問題を何度も調査したり、学習内容が定着しないという問題が発生します。

Obsidian × Claude Codeが提供する解決策
Obsidianの強力なリンク機能により、全てのメモが自動的に繋がり、広大な知識ネットワークを構築します。さらに、Claude Codeがこのネットワークを参照し、過去の知見を自動的に活用してくれるため、情報を見失うことがなくなります。

2. 計画なしの行き当たりばったり開発

明確な計画なしに開発を進めると、実装中に仕様変更が頻繁に発生したり、進捗が見えずに完了までの見通しが立たなくなったり、複数のプロジェクトの優先度管理が困難になったりします。これは、開発効率を著しく低下させる原因となります。

Obsidian × Claude Codeが提供する解決策
Claude CodeのAI支援により、詳細な実装計画を自動生成できます。これにより、行き当たりばったりな開発から卒業し、計画に基づいた確実な実装が可能になります。進捗も可視化されるため、プロジェクトの全体像を常に把握できます。

3. タスク管理の煩雑さ

TODOリストが複数のツールに分散していたり、重要なタスクが他のタスクに埋もれてしまったり、実施したことの記録が残らないといった問題は、開発者にとって大きなストレスとなります。

Obsidian × Claude Codeが提供する解決策
チェックリスト形式での進捗可視化と、AIが優先度を判定する機能により、ストレスフリーなタスク管理を実現します。全てのタスクと進捗がObsidianに集約されるため、情報を見失うことなく、効率的に作業を進められます。

Obsidian vs Notion:開発での決定的な違い

2025年において、開発者にとってObsidianは非常に有力な選択肢だと考えられます。ここでは、具体的な項目をもとに両者を比較し、その特徴や違いを解説していきます。

 ObsidianとNotionの主な違い

項目ObsidianNotion
読み込み速度瞬時に起動3-10秒程かかる
AI連携MCP直接連携Notion AI(月額$10)
料金完全無料月額$10〜
プライバシー100%ローカルクラウド依存
協働限定的リアルタイム共同編集やコメント機能あり

開発者にとってのリアルな違い

急なバグ対応

開発中に予期せぬバグが出ると、一刻も早く対応したいもの。

Obsidianならノートを書き始めるだけで関連情報や過去の修正履歴が浮かび上がり、数十秒で解決の糸口が見つかります。

一方でNotionはページ作成や整理の手間があり、数分の遅れがストレスになることも。

新しい技術を調べるとき

学習中のメモは、整理やつながりが重要です。

Obsidianは思考の流れをそのまま残せて、ノート同士が自動でリンクされるので知識が自然にネットワーク化されます。理解も深まりやすいのが魅力です。

対してNotionは「どこに書くか」「どう整理するか」を考える必要があり、スムーズさに欠ける場面があります。

機能実装や学習の記録

新機能を作るときも、学んだことを残すときも、Obsidianはアイデア出しから設計、振り返りまでを一つの流れで管理可能。知識が勝手につながっていくので、後から見返しても活用しやすいのが強みです。

Notionは情報が分散しやすく、整理や検索に時間を取られることがあります。

結論:開発で使うならObsidian

結論から言えば、開発で使うならObsidianが最適解です。

チームでの協働作業やドキュメント共有を重視するならNotionに分がありますが、開発・学習・そしてAIとの連携を考えると、Obsidianの使い勝手は圧倒的です。

Claude Code + MCP連携の威力

MCPとは?

MCP(Model Context Protocol)は、Claude CodeがObsidianのノートに直接アクセスして分析・検索を行える革新的な連携技術です。これにより、AIがパーソナルな知識ベースを理解し、より文脈に即したサポートを提供できるようになります。

従来との圧倒的な違い

従来の方法

問題発生 → Claude Codeに質問 → 汎用回答 → 自分で調整

MCP連携

問題発生 → Claude Codeが過去のメモを自動分析 → プロジェクト固有の最適解 → 即実装

この違いは、開発のスピードと品質に決定的な影響を与えます。汎用的な回答ではなく、プロジェクトの文脈に合わせた具体的な解決策が瞬時に得られるため、手戻りが減り、より効率的に開発を進められます。

具体的な活用例

1. コンテキスト豊富な相談

例えば、ユーザー認証の実装についてClaude Codeに質問する場合、MCP連携がなければ一般的な認証方法が提案されるでしょう。しかし、MCP連携があれば、Claude CodeはObsidianノートを参照し、以下のような情報を自動的に分析します。

  • [[プロジェクト概要]]
  • [[技術スタック]]
  • [[過去の認証実装の学び]]
  • [[セキュリティ要件]]

これらの情報を踏まえることで、Claude Codeはプロジェクトに最適化された具体的な実装案を提案できます。

質問:「ユーザー認証を実装したい」

Claude Codeが自動参照:

- [[プロジェクト概要]]

- [[技術スタック]]

- [[過去の認証実装の学び]]

- [[セキュリティ要件]]

結果:プロジェクト最適化された具体的実装案

2. 自動知識統合

新規メモを作成する際、関連する既存メモを自動的に発見し、それらを紐付けることで、知識の重複を防ぎ、体系的な知識ベースを構築できます。

ワークフロー

新規メモ作成 → 関連する既存メモを自動発見 → 知識の重複防止 → 体系的な知識ベース構築

これにより常に最新かつ整理された状態に保たれ、必要な情報にいつでもアクセスできるようになります。

実装計画 → 実装 → 進捗管理の完全ワークフロー

アイデア出しから実装、進捗の記録、振り返りまで――開発に必要な一連の流れを Obsidian × Claude Code で完結させることができます。これによって「思いつきで実装しては手戻りが増える」といったありがちな進め方から抜け出し、計画的で効率的なプロジェクト運営が可能になります。

失敗しない開発の流れ

💡 アイデア → 📋 AI詳細計画 → ✅ 進捗チェック → 🚀 実装 → 📝 振り返り記録

Step 1:アイデアをすぐメモ(30秒)

思いついたアイデアは迷わずObsidianに書き留めます。Markdown形式でざっくりと箇条書きにするだけでもOK。重要なのは、考えを止めずに素早く残すことです。関連するメモがあればリンクを貼っておくことで、後から参照しやすくなります。

メモの例

# 💡 ユーザー検索機能_改善アイデア

## やりたいこと

検索結果の表示速度を改善したい(現在3秒→1秒以下)

## 現状の問題

- [[パフォーマンス課題]] - SQLクエリが重い

- [[ユーザーからの苦情]] - 検索が遅いとの指摘多数

## 関連技術調査

- [[Elasticsearch導入検討]]

- [[インデックス最適化手法]]

#改善 #パフォーマンス #優先度中

Step 2:Claude Codeで実装計画作成(3分)

アイデアメモを基に、Claude Codeに詳細な実装計画の作成を依頼します。Claude Codeは過去のメモやプロジェクトのコンテキストを理解し、タスク分解、スケジュール、完了条件などを盛り込んだ計画を自動生成してくれます。

記録したアイデアをClaude Codeに渡すと、自動的に実装計画を立ててくれます。過去のメモやプロジェクトの文脈を参照しながら、タスクを細分化し、スケジュールや完了条件などを盛り込んだ計画を自動生成してくれます。

Claude Codeへの質問例

「検索機能のパフォーマンス改善について、過去のメモを参考に詳細な実装計画を立ててください。タスク分解とスケジュールも含めてObsidian形式で出力してください。」

AI生成される実装計画の例

# 🎯 検索機能_パフォーマンス改善計画

## 📊 現状分析

- 現在の応答時間: 3秒

- 目標: 1秒以下

- ボトルネック: [[SQLクエリ分析]]より、JOINが多すぎる

## 🛠️ 実装アプローチ

### Phase 1: クイックウィン(1日)

- [ ] 不要なJOIN削除

- [ ] インデックス追加

- [ ] クエリ結果キャッシュ

### Phase 2: 本格改善(3日)

- [ ] Elasticsearch導入検討

- [ ] 検索用データベース分離

- [ ] 非同期処理化

## ✅ 完了条件

- [ ] 応答時間1秒以下達成

- [ ] 既存機能の動作確認

- [ ] パフォーマンステスト実施

Step 3:進捗管理がラクになる(実装中)

実装が始まったら、生成された計画をもとに進捗をObsidianに記録していきます。チェックボックスをつければ、完了したタスク・進行中のタスクがひと目でわかり、そこに学んだことや気づきを追記していくことで、進行記録とナレッジ蓄積を同時に実現できます。

実装中のメモ例

# 🚧 検索機能改善_進捗記録

## ✅ 完了したタスク

- [x] 不要なJOIN削除 ✅ 2025-07-22 10:30

  - 結果: 応答時間3秒→2.1秒に改善

- [x] インデックス追加 ✅ 2025-07-22 14:15

  - 結果: さらに1.8秒まで短縮

## 🔄 進行中

- [ ] クエリ結果キャッシュ実装

  - 進捗: Redis設定完了、実装50%

  - 課題: [[キャッシュ戦略]]を再検討中

## 📝 学んだこと

- JOINの削除だけで30%改善

- [[インデックス設計のコツ]]に新しい知見追加

なぜこのワークフローが強力なのか?

Obsidian × Claude Code を使ったワークフローでは、AIが計画を立て、チェックリストで進捗を管理し、メモが自動的に知識として蓄積されていきます。従来のやり方と比べると、その差は明らかです。

従来の開発Obsidian × Claude Code
思いつき実装AIが立てた計画に沿って、確実に実装を進められる
進捗が不明確チェックリストでタスクが可視化され、進み具合が一目でわかる
学んだことを忘れやすいメモが自動的にリンクされ、知識として積み上がる
手戻りが多発事前に計画があるから、無駄なやり直しを最小限に抑えられる

完全セットアップガイド

今すぐ始める30分セットアップ

Obsidian × Claude Code × MCPの環境は30分で構築できます。以下のステップに従って開発環境をアップグレードしましょう。

Phase 1:基本セットアップ(10分)

  1. Obsidianインストール 

公式サイト から最新版をダウンロードし、インストールします。

Obsidian公式サイトトップ
Obsidian公式サイト:https://obsidian.md/
  1. 新しいVault作成 

Obsidianを起動し、「新しいVaultを作成」を選択します。

「DevKnowledge」や「ProjectMemory」など、知識ベースを象徴する名前を付けるのがおすすめです。

  1. 基本フォルダ構造作成 

Vault内に以下の基本フォルダを作成します。これにより、情報の整理がしやすくなります。

📁 01_Projects/

📁 02_Ideas/

📁 03_Learnings/

📁 04_Archives/

Phase 2:MCP連携設定(10分)

MCP連携には、ObsidianのプラグインとClaude Desktopの設定が必要です。

  1. Local REST API プラグインインストール 
Settings → Community plugins → Browse → "Local REST API"
  1. MCP Tools プラグインインストール 

同様に、「MCP Tools for Obsidian」を検索し、インストールして有効化します。

Settings → Community plugins → "MCP Tools for Obsidian"
  1. Claude Desktop設定 

Claude Desktopの設定ファイル(通常は~/.claude/config.jsonなど)に、Obsidianとの連携設定を追加します。これにより、Claude CodeがObsidianのノートにアクセスできるようになります。

{

  "mcpServers": {

    "obsidian": {

      "command": "npx",

      "args": ["@iansinnott/obsidian-mcp-tools"]

    }

  }

}

Phase 3:テンプレート設定(10分)

効率的なメモ作成と管理のために、いくつかのテンプレートを設定しておきましょう。

アイデアテンプレート:新しいアイデアを記録する際に使用します。

# 💡 {{title}} - {{date}}

## 概要

{{概要を記載}}

## 関連情報

- [[]]

- [[]]

## 次のアクション

- [ ] 

#アイデア #{{タグ}}

プロジェクトテンプレート:新しいプロジェクトを開始する際に使用します。

# 🎯 {{project_name}} 

## 📅 基本情報

- 開始日: {{date}}

- 期限: 

- 優先度: 

## ✅ タスク

- [ ] 

- [ ] 

## 📚 関連リソース

- [[]]

#プロジェクト #{{タグ}}

導入完了! 

これでObsidian × Claude Code × MCPの環境が完成です。

まとめ

ここまで紹介してきたように、Obsidian × Claude Code × MCPは単なるメモツールやAIアシスタントではなく、開発者が日々向き合う業務の流れそのものを支える基盤となります。

散らばっていた情報はリンクによって結びつき、AIが立てる計画は無駄な手戻りを減らします。タスクは整理され、優先度もはっきり見えるようになり、記事やドキュメントの作成も効率的に進められるようになります。細かな雑務に振り回されることなく、本来集中すべき設計や実装に力を注げる環境が整うことが大きなメリットだと感じます。

もちろん、いきなり大規模に導入する必要はありません。まずは小さなプロジェクトや日々の学習記録から試してみてください。その積み重ねがやがて大きな変化となり、開発効率やチーム全体のナレッジ共有の質を大きく引き上げてくれるはずです。

そして次回の記事では、さらに一歩踏み込んで 「記事作成におけるObsidianの活用法」 や 「メモ整理・TODO管理の実践術」 を紹介する予定です。今回の内容とあわせて活用いただければ、開発フローだけでなく情報整理やアウトプットの効率化にもつながるはずですので、ぜひ参考にしてみてください。

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